あやしい勧誘とうんこの話@渋谷

たまには昔話でも。

三年ほど前の東京に来たての頃の話なんですけどね。その頃から主な活動箇所は渋谷だったんですよ。職場や取引先が渋谷にあったんで。
んで、他の街を知ってる訳でもないので、買い物はだいたい渋谷。休みの日にうろうろしてると人がいっぱい。もちろん怪しい人もね。

で、渋谷に出るたび声かけられてた訳です。

「手相の勉強してるんですけど、手相見せて貰えますか?」

ってね。

「すぐ済みます。5分くらいです。」

そのときはたまたま時間があって、しかも相手がしつこく食い下がってくるんで、つい相手しちゃったんですよね。

手相見せて満足するならそれで良いじゃないか、って思ったんだけど、それが間違いの始まり。

最初は生命線長いですねぇ、とか普通の話。でも途中で「この手相はやばいですよ、今人生の転換期ですよ」って言い出す訳です。これは偉い人に見てもらわなくちゃ、って誰かに電話始めちゃって。でしばらくすると一緒に手相の勉強してるらしい仲間が参加して、この手相やばいですよね、って盛り上がり始める。

「偉い先生の時間が偶然取れたので、見てもらいに行きましょう。こんな事滅多にないですよ」

この時点で1時間。しかも渋谷のセンター街の道ばたで、有る意味さらし者。

で、まったく解放される気配がない。相手の必死さと幸薄そうな感じがちょっとかわいそうになってきて。「じゃぁ、すぐ済むなら行きますよ」と言っちゃった。

「よかった。今から行きましょう。西日暮里まで電車で」

西日暮里?!遠いよ。嫌だと言ったような気もするけど、すぐ済むなら行きますよ、って言ったことを引き合いに出されて押し切られ。西日暮里まで190円約30分。

で、西日暮里駅から歩いて5分ほどのマンションの一室に案内されました。入り口は普通のマンション風、でも中はちょっと喫茶店風。中では話し込んでる人が10人くらい。

ええ、最初に鑑定料とられましたよ。偉い先生だからって3000円。

とりあえず椅子にかけて、渋谷の人としばらく雑談。というか、これから来る先生がいかに偉いかについて説明を延々と聞く。

周りを見回してみると、小さい天使の人形がいろんな所に置いてある。どストレートに「宗教ですか?」って聞いたんだけど「かわいいから置いてるんですよ。ね、かわいいでしょ?」だって。

そうこうしてると、偉い先生登場。生年月日の話とか名前の画数でどうこうって話が始まる…って、手相関係ないの!?

そういや、名前の画数の話の中に、先祖が悪いことしてるからこのままだとダメですよ、ってのもあったっけ。まぁ、うちの親族はいい人ばっかりだけど、先祖なんて一杯いるんだからそのうち何人かは悪い奴いるって。

んで、2,3時間話を聞いたところで本題。ここまでの4,5時間はここに来るための壮大な複線だったんだと思う。

「セミナーを受けた方が良いですよ。12万円です。」

長野だったかな、そういった山のほうで集団合宿やったり、ビデオみたり、ディベートとかするそうな。お金ないし時間ないし、でのらりくらりかわしてると、学生ローンとかでセミナー受けてる人もいっぱい居る、って話を熱く語ってくれました。

「一旦帰ってから考えていいですか?」って話をしても「今、ここで決めてください」って答えが返ってくるばかり。

この時点で5時間ほど経過。最初から話聞きっぱなしで5時間もすると疲れてくるよね。話題はころころ変わるし、話は尽きないし、であんまり考える暇をくれない。

ので、こっちから切り出してみた。

「一つ大事な話が。さっきからうんこを我慢してるのですが。」

ちょっとうけた。んで、トイレに案内してもらった。トイレっていいよね。飾ってあったりするものや様子を見ると、なんとなくそこの方針、というか性格が判る。たしか、あいだみつを風の文章が飾ってあったっけ。で、トイレの中で一人作戦会議…方針決定。

「あと2時間半で終電。もうちょっと粘って、終電だからといって帰ろう。帰らせてくれなかったら強行突破してもいいよね。」

トイレで冷静になってから、戻って周りを見回してみた。ここにいる人、みんな幸薄そう(あくまでも体験者の感想です)。

で、その後は2時間半、適当に話つつ、まだ決心着かないな、とお茶を濁しつつ。予定時刻になったので「終電なので帰ります」って言うと「そうですか、残念です」とあっさり帰らせてくれました。

3380円と8時間。良い勉強になりました。トイレに行って冷静になるのは割と良い方法かも知れないです。困ったときにはうんこの話をオススメします。

その後は「手相見せてください」って言われても「西日暮里まで行ったのでもういいです」と答えるようになりました。そうするとすぐに引き下がってくれるんですよね。
たまに「えっ、西日暮里で何もなかったんですか?」って聞かれる事も有りましたけど・・・あなたは西日暮里で何かあったんですね。

まぁ、最近は道を聞かれる事くらいしか無くなって寂しい限りです。東京にとけ込んできて、ナウなヤングに見えてるんでしょうね、きっと。

ちなみに、人生の転換期の話ですが、手相の見方を後で調べるとこじつけだった、って事が判りました。でも、確かにあの頃は人生の転換期でした。もちろん、良い風に進んできたと思ってます。今まで関わってくれた方々のお陰です。セミナーに行くより何より、友人や仲間の言葉をちゃんと耳を傾けるべきですよね。

そういえば、あんた騙されやすそうだから変な勧誘に引っかからないようにね、絶対ついて行ったらダメだよ、って昔からいろんな人に言われてたっけ…